8.21.2014

Midnight London


私が今好きな男性はふたりいて、ひとりはFoster The PeopleのMark Foster
もうひとりはもうずっと片思いしつづけているSherlok Holmesである。

いつも冷静沈着で頭脳明晰、医学と物理学の知識に長けている呪術と拳銃の達人、休日にはワインとバイオリンを嗜む———こんな素敵なプロフィールに、憧れずにいられようか?

ホームズの魅力はなんといってもその頭の良さだが、わたしが惹かれた部分はやはりクラシック音楽の教養があることだった。
彼は考え事をするときに、きまってヴァイオリンの調べを奏でる。

"ホームズはへやのすみから例のヴァイオリンをとりあげて、夢みるような自作のしらべを低く奏でだした。彼は即興学にたいしてすぐれた天分があるのだ。私は彼のほっそりした手足や、まじめくさった顔つきや、弓のあげさげを眺めながら、その快いリズムに聞きいるうちに、うとうとと甘美な世界に引きいれられて、いつしか夢路をたどり、うえからのぞきこむメアリー・モースタン嬢のえもいわれぬ笑顔を眺めているのだった。"──「四つの署名」



秋はなんだか寂しくなってしまう季節だからあまり好きではない、そんな風に長年思っていたが、秋に始まるファッションやカルチャーにおける英国文化キャンペーンの存在を知ってから、好きな季節になった。

オアシスやビートルズの音楽、ファンタジー映画、ロイヤルファミリー。
もともと隠れ英国マニアだったこともあり、そのキャンペーンは私に秋が楽しみになるきっかけを与えてくれた。
それ以来、夏の太陽の光が和らいで街の色が淡くなってくるころに、ミステリー小説をかばんに入れて持ち歩くことがわたしの秋の風物詩となっている。


8月も半ばにさしかかり、まだまだ残暑がある時期だけれど、日頃の猛暑に辟易してしまいこのところはアガサ・クリスティの「火曜クラブ」を読み返している。
ベッドルーム・ミュージックはエルガーの《*エニグマ》にしよう。
……やっぱり、ちょっと安易かな。



*正式名は《独創主題による変奏曲(Variations on an Original Theme for orchestra)》であるが出版の際に《エニグマ変奏曲》と付記された。エニグマはギリシャ語で「謎」という意味を持ち、エルガーの解説より「すべての変奏の基盤となっている、もう1つの聞き取ることのできない主題=隠された主題」が存在すると言われていることから、イギリス人のミステリー好きを最も感じることのできる楽曲なのである。